高市首相が施政方針演説「成長のスイッチを押して押して押して押して、押しまくる」(2026年2月20日)

日本・海外の反応
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2026年2月20日、高市早苗首相が第213通常国会で施政方針演説を行った。「責任ある積極財政」を掲げ、長年続いた緊縮財政からの転換を宣言。AI・半導体・量子などの先端技術への投資拡大、エネルギー安全保障の強化、防衛力の抜本的強化、そして「成長のスイッチを押して押して押しまくる」という言葉に象徴される強力な経済成長路線を打ち出した。少子化対策、食料安全保障、地方創生、外交・安全保障政策にわたる包括的な政策方針を示した演説である。

高市首相が施政方針演説「成長のスイッチを押して押して押して押して、押しまくる」(2026年2月20日)
衆院本会議で20日、高市早苗首相が施政方針演説を行い、「様々なお声に耳を傾け、謙虚に、しかし、大胆に政権運営に当たる」と表明した。8日に行われた総選挙で信任を受けた高市首相は、責任ある積極財政を掲げ、外交・安全保障の強化と並行して経済の抜本...

施政方針演説の開始・内閣の使命と責任

先般の総選挙の結果を受けて指名をいただき、再び内閣総理大臣の職責を担うことになりました。重要な政策転換を何としてもやり抜いていけ、と国民の皆様から力強く背中を押していただけたと考えています。

その大きなご期待に応えるため、自由民主党が総選挙で掲げた政権公約、および日本維新の会との間で正式に交わした連立政権合意の内容を1つ1つ実現していく、その重い責任を必ずや果たしてまいります。政策実現にご協力をいただける野党の皆様とも、ぜひ力を合わせて取り組んでいきたい。様々なお声に耳を傾け、謙虚に、しかし大胆な政権運営に当たってまいります。

真をもって義を行い、義をもって名誉をなす。国民の皆様から賜ったご信任を基礎として、これから述べる施政方針に則り、1つ1つの政策を誠実に、ぶれずに実行してまいります。日本列島を強く豊かに——私のこの使命を、政策の積み重ねの上に全身全霊をかけて成し遂げてまいります。

物価高対策と積極財政への転換

昨年の臨時国会では、国民の皆様が直面している物価高への対応を最優先に取り組みました。暫定税率の廃止や成立した補正予算に基づき、ガソリンおよび軽油の価格は着実に低下しています。電気・ガス料金の支援や重点支援地方交付金による支援も、国民の皆様に届き始めています。迅速な執行に一層努めてまいります。

いよいよ本国会では、日本と日本人の底力を生かし、力強い経済政策と力強い外交・安全保障政策を押し進める大きな政策を本格的に起動させます。

外交力、防衛力、経済力、技術力、情報力、そして人材力。日本の総合的な国力を徹底的に強くしていく。そのために、これまでの政策のあり方を根本的に転換してまいります。その本丸は、責任ある積極財政です。

我が国の潜在成長率は、主要先進国と比べて低迷しています。しかし、技術革新力や労働の効率性などを表す数値は他国と遜色ありません。日本人には底力があります。圧倒的に足りないのは資本投入量、すなわち国内投資です。その促進に、徹底的な手入れをします。

危機管理投資・成長投資と財政改革

経済安全保障、食料安全保障、エネルギー・資源安全保障、健康・医療安全保障、国土強靭化対策、サイバーセキュリティなど、様々なリスクを最小化する危機管理投資。AI、半導体、造船などの先端技術を花開かせる成長投資。これらにより、世界共通の課題解決に資する製品・サービス・インフラを開発し、国内外に提供することで日本の成長につなげていきます。

そして、暮らしの安全と安心を確保し、雇用と所得を増やし、消費マインドを改善し、事業収益が上がり、税率を上げずとも税収が自然増に向かう強い経済を構築します。この好循環を実現することで日本経済のパイを大きくするとともに、物価上昇に負けない賃金上昇を実現します。

国民の皆様に成長の果実を実感していただき、日々の暮らしと未来への不安を希望に変えていこうではありませんか。そのための責任ある積極財政です。

高市内閣は、長年続いてきた過度な緊縮への投資不足の流れを断ち切ります。世界を見渡せば、政府が一歩前に出て民間と手を取り合って重要な社会課題の解決を目指す新たな政策が大きな潮流となり、各国政府は大規模かつ長期的な財政出動を伴う政策を展開しています。政策の大競争時代にある中、我が国として経済成長を実現するために必要な財政をためらうべきではありません。

特に、民間事業者や地方自治体の取り組みを後押しするために、政府の予算の予見可能性を確保することが必要です。そこで今年の骨太方針に向けて議論を行い、政府の予算の作り方を根本から改めます。毎年補正予算が組まれることを前提とした予算編成と決別し、必要な予算は可能な限り当初予算で措置します。約2年がかりの大改革です。

事業者に安心して研究開発や設備投資をしていただけるよう、複数年度予算や長期的な基金による投資促進策を大胆に進めます。特に、投資を上回るリターンを通じてGDPの成長にも資する危機管理投資・成長投資などについては、債務残高の対GDP比引き下げにもつながるよう、予算上の別枠で管理する仕組みを導入します。一方で、マーケットからの信任を損なうような財政政策を取るわけではありません。片山大臣のもとに歳出特別措置・補助金見直し担当を設置するなど、歳出改革を進めた上で戦略的な財政運営を行っていきます。

成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高の対GDPを安定的に引き下げていきます。そのことにより財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保していきます。その具体的な目標も明確化します。こうした財政規律にも十分配慮した財政政策こそが、高市内閣の責任ある積極財政です。

令和8年度予算・税制改正と成長戦略

その頭出しとなるのが令和8年度予算・税制改正です。全ては国民の皆様のために、8年度税制改正関連法案をはじめ、今年度末までに成立が必要な法案の早期成立にご協力ください。また、8年度予算の迅速なご審議もお願い申し上げます。

いわゆる教育無償化を含め、新年度からの実施を予定している施策についても、国民生活に影響を生じさせないようにしてまいります。

高市内閣の成長戦略では、供給力強化を目的に先端技術の社会実装の実現を重視しながら、事業者の予見可能性を高める大胆な措置を講じていきます。量子、航空、宇宙、コンテンツ、創薬などの17の戦略分野については、大胆な投資促進、国際展開支援、人材育成、研究開発、産学官連携・国際標準化・防衛調達を含む官庁による調達、規制・制度改革といった供給および需要の両面にアプローチする多角的な観点からの総合支援策を講じます。

特に、先端技術や成長が期待される分野の官民投資ロードマップについて、来月から提示していきます。これを8つの横断的課題の解決策を検討する材料とします。そしてその解決策や政府支援策を踏まえ、どれだけ民間投資が促進されるか——この夏に取りまとめる日本成長戦略で定量的に明らかにするとともに、GDPの伸びや税収増への見通しも示せるようにします。

貯蓄から投資に向けた資産運用立国の取り組みを深め、国民の皆様の安定的な金融資産形成を促します。そのことにより、賃金以外を含めた国民所得向上および国内投資活性化につなげていきます。さらにコーポレートガバナンスのあり方を見直し、企業の長期的な成長に資する人的投資や新事業への投資がより積極的に行われるよう、株主への還元も含めた企業の資源配分戦略を成長思考型に変容させていきます。

また、働き方改革の総点検においてお聞きした働く方々のお声を踏まえ、裁量労働制の見直し、副業にあたっての健康確保措置の導入、テレワークなどの柔軟な働き方の拡大に向けた検討を進めます。

とにかく、成長のスイッチを押して押して押して押して、押しまくってまいります。

経済安全保障・エネルギー政策

世界が依存し、民用よりも広く用いられるサプライチェーン上流の物資を管理下に置くことで、自国の主張に他国を従わせようとする経済的威圧の動きが顕在化しています。海域、海洋、宇宙空間における競争も激化しています。我が国の戦略的自立性・不可欠性を確保する必要性が一層増大しています。

令和7年度予算の予備費も活用しながら、関係量を上げて特定国に依存しないサプライチェーンの再構築と依存脱却のための同志国との連携を強化します。海底ケーブルの敷設などの重要なインフラに対する支援、経済安全保障に資する海外事業の展開支援、医療を含む基幹インフラ制度の強化、総合的なシンクタンク機能の構築に取り組みます。また、対内直接投資に対する審査の実効性を高めるべく、日本版CFIUS——すなわち対日外国投資委員会を創設します。

エネルギーは国民生活および国内産業の基盤であり、国際競争力強化のためにも安定的で安価な供給が不可欠です。エネルギー安全保障の観点からは、省エネルギー技術の活用を進めるとともに国産エネルギーを確保することが重要です。地域の理解や環境への配慮を前提に、サプライチェーン確保を図りながら脱炭素電源を最大限活用します。原子力規制委員会により安全性が確認された原子炉の再稼働加速に向けて、全力で取り組みます。廃炉を決定した原子力発電所を有する事業者の、原子力発電所のサイト内での建て替えに向け、次世代革新炉の開発・設置についても具体化を進めます。

再生可能エネルギーについては、同盟国・同志国と連携しつつ、ペロブスカイト対応電池や次世代型地熱発電設備にかかるサプライチェーンを国内に構築します。一方で、脱炭素電源の導入が自然環境を損ったり、サプライチェーン上のリスクとなったりしては本末転倒です。特に太陽光発電については、設置にあたっての安全性確認規制や環境アセスメントの強化、発電にかかる支援制度の見直し、パネル廃棄にあたってのリサイクル制度の創設など、一連の規制・制度の導入および適正化を進めます。そして、世界に先駆けたエネルギーの早期社会実装を目指します。

水素社会の実現並びに資源開発および資源循環の取り組みを加速します。特に、南鳥島周辺海域の海底のレアアース資源の活用に向けた取り組みを急ぎます。

世界共通の課題である気候変動に対し、危機管理投資の観点から大胆なGX投資を進め、脱炭素を成長につなげていきます。特に、GX型の産業集積やワット・ビット連携を促進し、新たなスタンダードを形成していきます。またアジアゼロエミッション共同体を通じアジアにおける脱炭素化に貢献するとともに、アジアの成長力を取り込んでいきます。

国土強靭化・防災・東日本大震災復興

地球温暖化の影響もあり、自然災害の激甚化・頻発化が世界的課題となっています。令和の国土強靭化を進め、国民の皆様の生命と財産を守ります。合わせて、防災技術やインフラを積極的に海外に展開していきます。そのためにも、防災庁を本年中に設立する法案を提出します。地方機関である防災局も設置します。

特に力を入れるべきは、事前防災およびインフラの予防保全の徹底です。国・自治体によるシミュレーションによりリスクを総点検し、衛星などのテクノロジーも活用しながらハード・ソフト両面での対策を強化します。首都の危機管理機能のバックアップ体制を構築し、首都機能分散および多極分散型経済圏を形成する観点から、首都およびいわゆる副首都の責務と機能に関する検討を急ぎます。

3月11日で、あの東日本大震災から15年となります。福島の復興なくして東北の復興なし。東北の復興なくして日本の再生なし。福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取り組みを着実に進めます。また、希望される住民の皆様の帰還、農業や森林整備の再開による生活やなりわいの再建、福島イノベーションコースト構想による産業発展など、来年度からの第3期復興・創生期間の5年間で様々な課題解決に取り組みます。特に、中間貯蔵施設に保管されている除去土壌等については、理解醸成を通じた復興・再生利用を進めるとともに、福島県外での最終処分に向けた今後の道筋を具体化させてまいります。

今年1月1日は能登半島地震から2年でした。能登の賑わいと笑顔を1日も早く取り戻したい。地震と大雨による幹線道路の通行止めは9割以上が解消しましたが、単なる復旧で終わらせてはなりません。なりわいの再建、地場産業や世界に誇れる伝統産業の復活、信頼を測り、創造的復興を力強く進めてまいります。

食料安全保障・農林水産業・万博

国土保全に加え、食料安全保障の確保のために農林水産業の振興が重要です。供給・需要を共に伸ばし、食料自給率の向上を実現します。

農業については、全ての農地を振る活用すべく、5年間の農業構造転換集中対策期間において別枠予算を確保します。その上で、農地の大区画化や中山間地域における細やかな整備、共同利用施設の再編・合理化を進めます。また、世界トップレベルの植物工場、衛星情報、AI解析などのスマート農業技術の開発・実装を加速させます。合わせて、経営体の体質強化や品質の高い新品種の開発促進を図ります。これらにより、生産性を抜本的に向上させます。

米については、需要拡大・輸出拡大を図りつつ供給力を強化することにより、安定供給を図ります。的確な需給把握のため、関係する事業者に在庫や出荷・販売量の定期報告を義務づけます。また、供給不足に備え政府備蓄の買い入れを再開するとともに、政府備蓄を保管するための民間備蓄制度を創設します。

水産業についても、陸上養殖や航空レーザー計測などのスマート技術の活用により生産性向上を図ります。そして、農林水産物や食品の需要拡大・輸出拡大を図ります。農林水産大臣のみならず、経済産業大臣や外務大臣、そして私自身も自ら需要開拓に取り組みます。また、品種保護によるブランド化や細やかなマーケティングにより付加価値を高め、稼げる農林水産業および食産業を目指します。

大阪・関西万博は大きな成功を収めました。2027年国際園芸博覧会の成功に向けても、開催準備および機運醸成に力を注ぎます。

地方創生・地域経済の強化

日本を豊かにする、そのことが大切です。農山漁村・中山間地域をはじめ、47都道府県どこに住んでいても安全に生活することができ、必要な医療・福祉や質の高い教育を受けることができ、働く場所がある——これが高市内閣の目指す日本の姿です。

そのために何より重要なことは強い地域経済の構築であり、地域未来戦略を推進します。地域の特性に応じた地域発のアイデア創出を募り、これまでの地方創生の支援策や税制などの政策ツールを最大限活用しつつ、大胆な投資促進策と産業用地を含めたインフラ整備を一体的に講じます。そのことを通じた都道府県知事などとの協働により、各地に産業クラスターを戦略的に形成していきます。加えて、魅力ある地域資源を生かした地場産業の成長を支援します。

金融を通じ、日本経済と地方経済の潜在力を解き放すための戦略を策定します。地域経済を支える金融機関の経営基盤の強化を図るための環境整備も行います。多様性に富んだ地域の魅力や文化・スポーツを生かした地域活性化も進めます。合わせて、職人技や伝統芸能を含めた文化財の継承・保存・活用をはじめとした文化芸術政策を推進します。また、地方への旅客の促進などのオーバーツーリズム対策を強化しつつ、持続可能な観光を推進します。

地方の社会経済を支える行政サービスやエッセンシャルサービスの維持・効率化にも取り組みます。行政分野、そして医療などの準公共分野のAI・デジタル化を推進するとともに、効率的なエッセンシャルサービスの提供を支援する法的枠組みを整備します。地域交通や物流を維持するため、中継輸送やDXの推進、多様な主体による連携を促す枠組みの創設を通じ、交通空白やドライバーなどの担い手不足の課題解消に取り組みます。

中小企業支援・賃上げ・手取り増加策

良質な雇用を支える中小企業や、売上高100億円を目指す成長思考の中堅企業、地域経済を支える小規模事業者などの稼ぐ力を抜本的に強化します。物価上昇型の価格転嫁や生産性向上・省力化支援に加え、観光での対策を含めた価格転嫁・取引適正化の徹底、事業承継やM&Aの環境整備に取り組みます。

こうした施策により、政府としては賃上げの責任を事業者に丸投げせず、継続的に賃上げできる環境を整えてまいります。強い経済の実現により賃上げの原資を生み出すとともに、ガソリン・軽油の暫定税率廃止による値下げなどの物価高対策を着実に実施していくことで、物価上昇を上回る継続的な賃上げを実現します。

政府経済見通しで示した通り、令和6年度の実質賃金の伸びはプラスとなっており、7年度および8年度もプラスとなる見込みです。この明るい動きを政策の力でさらに大きなうねりにしていきましょう。

手取りの増加に向けた対策も講じます。いわゆる103万円の壁については、働き控えの解消と手取り増加の観点から、178万円に引き上げます。社会保険料負担や物価高に苦しむ中所得・低所得の方々の負担を減らすため、給付付き税額控除の制度設計を含めた社会保障と税の一体改革について、与野党で構成される国民会議において検討を進め、結論を得ます。

また、同制度導入までの間の負担軽減策として、現在軽減税率が適用されている飲食料については、特例に頼ることなく2年間に限り消費税を0税率とすることにつき、スケジュールや財源のあり方などその実現に向けた諸課題に関する検討を加速します。野党の皆様のご協力が得られれば、夏前には中間取りまとめを行い、税制改正関連法案の早期提出を目指します。こうした施策を総動員することで、投資と賃上げの好循環を生み出します。日本列島を再び豊かにしていこうではありませんか。

科学技術・スタートアップ育成

強い経済の基盤となるのは優れた科学技術です。大学改革を進めるとともに、基礎研究を含めた科学技術研究の基盤を強化し、イノベーションを通じた経済成長や国際的地位の確保を達成する新技術立国を目指します。

日本には優れた研究が数多くあります。AI・先端ロボットやバイオなど、成長が見込まれかつ難易度が高い技術領域における研究開発について、税制や規制改革を一体的に講じることで投資を強力に促進していくための認定制度を創設します。

スタートアップは技術を実用化していく主要な担い手です。スタートアップ育成5カ年計画を強化し、先端技術の社会実装を加速させます。そのため、国内外からのベンチャー投資の促進、規制改革、人材育成、官庁による調達といった多角的観点からの総合支援策を講じます。また、支援体制の拡充を図り、多数のグローバルユニコーンの創出を目指します。

外交・安全保障政策の基本方針

強い経済を基礎として、強い外交・安全保障も確立していきます。国家間の競争が複雑化・常態化し、私たちが慣れ親しんだ自由で開かれた安定的な国際秩序は今、大きく揺らいでいます。そうした中、我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しています。

中国は東シナ海・南シナ海での力、または威圧による一方的な現状変更の試みを強化するとともに、我が国周辺での軍事活動を拡大・活発化させています。北朝鮮は核・ミサイル能力の向上を引き続き追求しています。ロシアによるウクライナ侵略は未だ継続しています。そのロシアに北朝鮮は兵士を派遣し、その見返りとしてロシアから核・ミサイル関連技術が移転される恐れがあります。中国はロシアとの軍事的連携を強化しています。さらに、外交・安全保障の舞台は宇宙、サイバー空間、認知領域といった新たな領域にも広がっています。

こうした中で必要なことは、我が国が自ら考えてハンドルを握り、長期的目標を持ってどこに向かっていくのかを決めることです。そして、外交と防衛を車の両輪として我が国の独立と平和を守り抜くとともに、分断と対立の進む世界を協調と共存に導き、日本と世界が共に繁栄していくよう積極的に役割を果たさなければなりません。

高市内閣では、平和と繁栄を作る責任ある日本外交を展開していきます。今年は、安倍晋三元総理が「自由で開かれたインド太平洋」を提唱してから10年です。この間の地政学的な競争の結果、AIデジタルなどの加速度的な技術革新とその覇権争いといった変化を踏まえると、各国が自立性と強靭性を強化する必要性が高まっています。データ基盤や重要物資のサプライチェーン強靭化といった経済基盤の強化、官民一体での経済成長の機会創出、政府安全保障能力強化支援いわゆるOSAやODAの規模拡大を通じた地域の平和と安定のための連携拡大など、FOIPの取り組みを戦略的に進化させていきます。インド太平洋を強く豊かにしていきましょう。

ルールに基づく自由貿易体制の維持・拡大は、我が国の経済外交の柱です。CPTPPについて、戦略的観点からその高い水準を堅持しつつ、締約国の拡大および協定改定を目指すとともに、EUとのさらなる連携の可能性を模索していきます。

日米同盟・各国との外交

日米同盟は日本の外交・安全保障政策の基軸です。可能であれば来月にも訪米します。トランプ大統領との信頼関係を一層強固なものとし、安全保障、経済、文化などあらゆる分野で日米関係をさらに強化していきます。加えて、東アジアをはじめとする各地域の課題について連携しながら取り組みます。

在日米軍の円滑な運用のためには、地元を含む国民の皆様のご理解とご協力を得ることが不可欠です。沖縄県を含む基地負担軽減に取り組みます。特に、普天間飛行場の1日も早い全面返還を目指し、辺野古への移設工事を進めます。沖縄の皆様の思いに向き合い、沖縄経済の強化に向けた取り組みを継続します。

また、日米同盟を基軸に、自由・民主主義・人権・法の支配といった基本的価値や原則を共有する国々と手を携えてまいります。日米間、日米フィリピン、日米豪、日米英などの多角的な安全保障協力を深めてまいります。さらに、欧州諸国とも世界の様々な課題に共に取り組んでまいります。

韓国については、先月、李大統領を日本にお迎えしました。現下の戦略環境のもとで重要性が高まっている中、首脳間の信頼関係を基礎とした率直な意見交換を通じて、さらなる関係強化を図っていきます。

中国とは、戦略的互恵関係を包括的に推進し、建設的かつ安定的な関係を構築していくことが高市内閣の一貫した方針です。重要な隣国であり様々な懸案と課題があるからこそ、意思疎通を継続しながら国益の観点から冷静かつ適切に対応してまいります。

北朝鮮による全ての拉致被害者のご帰国を、私の在任中に実現したい。そのように強く決意しています。金委員長との首脳会談をはじめ、あらゆる選択肢を排除せず突破口を開くべく取り組んでいます。また、我が国にとって従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威となっている核・ミサイル開発は断じて容認できません。

ロシアによるウクライナ侵略を早期に終結させることが重要です。そのために、ウクライナの意思を最大限尊重しながら、同志国と共にウクライナを支えていきます。また、日露関係は厳しい状況にありますが、領土問題を解決し平和条約を締結するという日本政府の方針に変わりはありません。

防衛力強化・インテリジェンス機能強化

国家安全保障戦略をはじめとする3文書の策定以降、新しい戦い方の顕在化、長期戦への備えの必要性など安全保障環境の変化が様々な分野で加速度的に生じています。我が国として主体的に防衛力の抜本的強化を進めることが必要です。このため、本年中に3文書を前倒しで改定します。

また、航空自衛隊を航空宇宙自衛隊に改編するとともに、宇宙作戦集団を新たに編成します。給与体系の改定をはじめ、防衛力の根幹である自衛官の処遇改善も進めます。

我が国にとって望ましい安全保障環境を自ら創出していくための取り組みも必要です。防衛装備移転に関し、3原則におけるいわゆる5類型の見直しに向けた検討を加速させます。これは、同盟国・同志国の抑止力・対処力強化に資するとともに、我が国の防衛生産基盤や技術基盤の強化にもつながるものです。合わせて、防衛調達側のニーズをしっかりと産業界に伝え、スタートアップも含めた企業が技術開発・量産化・新市場開拓に積極的にチャレンジできる環境整備も進めます。防衛の抜本的強化を補完すべく、海上保安能力やサイバーセキュリティ対策についても一層強化していきます。

戦後最も厳しく複雑な安全保障環境において我が国の国益を守るためには、質が高く適切なタイミングを捉えた情報の収集・分析を行うとともに、それらをハイレベルで集約し、高度かつ迅速な意思決定を行う必要があります。インテリジェンスの司令塔機能を強化すべく、内閣総理大臣を議長とし関係閣僚から構成される国家情報会議を内閣に設置します。また、内閣情報調査室を国家情報局に格上げし、関係機関からの情報を集約・活用します。その分析結果も生かし、外国からの不当な干渉を防止するための制度設計を進めるなど必要な対策を講じます。

人材力強化・教育・子ども・若者政策

力、特に経済力の基盤となるのは人材力です。高市内閣では人材力を強化していきます。教職員の働き方改革を一層進めるとともに、指導体制の充実を図り、人作りの礎である教育の質を向上させていきます。いわゆる教育無償化について、今年4月からの実施を目指します。合わせて、全ての高校生が多様で質の高い教育を受けられるよう努めます。

DX・AI化の進展といった産業構造転換に対応した人材育成が求められています。産業界・地域の高校、高専、大学などと地方自治体が協働し、産業イノベーション人材を育成する取り組みを進めます。そして、全ての子ども・若者が豊かな体験を得られるよう支援を強化します。特に、孤独・孤立に陥りやすい若者について、大規模な実態調査を行った上で、社会とのつながりの構築を支援します。また、性や健康に関する正しい知識を身につけ健康管理を行うプレコンセプションケアを推進します。

全世代活躍社会・少子化対策・社会保障改革

日本人の底力を解き放すためには、子ども・若者に加え、全世代の国民の皆様1人1人が生き生きと活躍できることが重要です。日本人の誰もが日本国の主役でなければなりません。

性別・障害の有無、生まれた年代や住んでいる地域、家族の状況などによって不公平がない社会を目指しましょう。子ども・若者の不登校、介護が原因の離職を減らすため、ベビーシッターや家事支援サービスの利用促進に向けた負担軽減に取り組みます。企業の活力を生かした小学生の居場所づくりや病児保育の充実を図ります。低所得・子育て世帯や一人親世帯、ヤングケアラーの状況に応じた支援にも力を入れます。

加えて、子ども未来戦略の加速化プランに基づき、こども誰でも通園制度の本格実施や保育士の処遇改善などの取り組みを推進します。また、就職氷河期世代に対する新たな支援プログラムを策定します。性差に由来した健康課題への対応を加速すべく、診療領域を横断した対応策の整理や診療拠点の整備を進め、特に女性の生涯にわたる健康支援を強化します。がんのゲノム医療やワンヘルスの取り組みも推進します。

少子化・高齢化・人口減少は、我が国の活力を蝕んでいく静かな有事です。少子化傾向を反転させるための対策を強化します。しかし、それが功を奏したとしても、当面は人口減少が続きます。人口減少に対応した社会経済を再構築する対策も必要です。この両面について、一貫した総合的な戦略を策定・実施します。

強い経済の実現により、若い世代の所得を増加させていきます。そして先に述べた子ども・若者政策や子育て支援に加え、妊婦健診や出産にかかる費用など妊娠・出産に伴う経済的負担を軽減します。

人口減少・高齢化においては、社会保障制度における給付と負担のあり方や所得再分配機能について、国民的議論が必要です。国民会議において与野党の垣根を超え、有識者の英知も集めて議論し、結論を得ていきます。またデータヘルスや保険機能の強化、健康経営に取り組む地域への支援、がん検診・歯科検診の推進を通じ、攻めの予防医療を具体化させます。健康寿命の延伸を図ることで、皆が元気に活躍し、社会保障制度を含めた社会の支え手となっていただけるようにします。

国力そして社会経済の活力を維持するためには、生産性向上の効果を加味した上で、将来必要となる労働力人口の規模を考える必要があります。少子化傾向の反転、労働参加率向上、外国人の法令に則った規制かつ適正な受け入れなどを踏まえ、腰を据えて検討してまいります。

一部の外国人による違法行為やルールからの逸脱に対し、国民の皆様が不安や不公平を感じる状況が生じていることに配慮しなければなりません。ルールを守り、税や社会保険料を納めながら滞在・居住している大部分の外国人のためにも、問題ある行為を毅然と対応することで、我が国が排外主義に陥らないようにします。それが外国人との秩序ある共生社会の実現です。国民の安全・安心のための不法滞在ゼロプランを強力に推進します。特に、短期滞在の来日に関して電子渡航認証制度、すなわちESTAを創設する法案を提出します。これにより、我が国にとって好ましくない外国人の入国を防ぐとともに、問題のない来日者の入国手続きの円滑化を図ります。また、外国人による土地取得などに関する規制のあり方の検討を進め、この夏までに骨格を取りまとめます。合わせて、外国人に対する日本語教育の充実、日本の制度の理解促進に取り組みます。

その他の治安確保にも取り組みます。AIやドローンなどの新たな技術を悪用した犯罪行為やサイバーテロの抑止、そして消費者教育に取り組みます。国民を詐欺から守るための総合対策2.0に掲げられた取り組みを着実に実施し、いわゆる特殊詐欺の撲滅を目指します。特に、携帯通信の契約時の本人確認義務の範囲を拡大する法案、口座を利用した新たな詐欺対策を可能とする法案を提出します。またご本人からの速やかな回復と法的安定性のバランスを図りつつ、最新制度に関する具体的な起訴を整備する法案を提出します。

熊による人身被害が各地で発生し、日々の暮らしを脅かしています。昨年取りまとめた熊被害対策パッケージに基づき、春の時期を含めた捕獲により個体数管理の徹底を図るとともに、中長期の取り組みを含めた対策ロードマップを策定し、人と熊の住み分けを図ります。

政治改革・皇室・憲法・未来への挑戦

政治へのさらなる信頼回復に向け、政治資金のあり方や衆議院の選挙制度・議員定数削減に関する各党・各会派の議論が進展することを期待します。

今年は昭和元年から数えて100年を迎えます。日本は古来固有の文化を守り、和を尊び、家族や社会が互いに助け合いながら発展してきました。そうした我が国の伝統や歴史の重みを噛みしめながら、国会において皇室典範に向け安定的な皇位継承等のあり方に関する議論が深まることを期待しています。4月29日には昭和100年記念式典を執り行います。

激動の昭和を生き、先の大戦や幾多の災害を乗り越え、希望を紡ぎ出した先人に学び、我々も果敢に挑戦していこうではありませんか。どのような国を作り上げたいのか——その理想の姿を物語るものが憲法です。憲法改正に関し、衆議院および参議院に設置された憲法審査会において党派を超えた建設的な議論が加速するとともに、最終的に判断を行う国民の皆様の間でもこれまで以上に積極的な議論が深まり、国会における発議が早期に実現されることを期待します。

挑戦しない国に未来はありません。守るだけの政治に希望は生まれません。今年初めて投票してくださった18歳の若者も、生まれたばかりの赤ちゃんも、その多くが22世紀を迎えることができるでしょう。

その時に日本が安全で豊かであるように、インド太平洋の輝く星として、自由と民主主義の国として、世界から頼りにされる日本であるように。若者たちが日本に生まれたことに誇りを感じ、未来は明るいと自信を持っている——そうした国を作り上げていく今の時代を生きる私たちには、その大きな責任があります。

皆様、未来への挑戦を共に進めてまいりましょう。希望を生み出す政治を共に進めていこうではありませんか。ご清聴ありがとうございました。

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