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日本の労働時間はドイツと比較すると1.5倍も長いのに、賃金は低いままです。このような状況に対して十分な対策がとられているとは思えません。働き方改革とは、日本の労働環境における悪い点や弊害を是正していこうという一連の取り組みを指します。
今回ご来店いただきありがとうございます。まずご質問なのですが、こちらに依頼された理由、また退職しようと思った理由などを聞かせていただいてもよろしいですか?
はい、今の会社はすごくいいところもあったのですが、どうしても雰囲気として続けられないと感じました。
それでは私の連絡方法を共有させていただきます。退職希望の旨と今後出勤ができない旨をご本人様に代わりご連絡させていただきました。
基本的には退職という出来事は人にとってかなり大きなイベントになりますので、私たちは責任を持って対応させていただいています。私自身が前職で結構過酷な労働環境だったので、同僚や後輩がどんどん辞めていく環境にいました。そのため、退職の問題や労働問題というのは非常に注目されていると感じたので、退職代行というサービスを始めました。
日本の労働観というのは、あくまで仕事に対して人が応募するのではなく、組織のメンバーになるという契約を結ぶような形になります。そのため、組織や会社との白紙の委任契約のような形で、会社が大きな人事権を持って仕事をさせます。そこまでお世話になった会社に対して辞めるということは、組織の裏切りだと思われてしまうのです。
会社連絡の際には、一部企業の方から厳しい言葉をいただいたり、かなり暴言に近いものを浴びせられることがあります。そういった時はメンタル的にも落ち込んでしまう人もいると思います。
日本文化ではメンバーシップ型の雇用観によって、どうしてもブラック的な働き方をすることで評価されてしまうところがあります。また、ブラック企業が問題視され、長時間労働や劣悪な労働環境が問題とされているのに、そういった会社がなくならないのは、労働基準法で法律違反だと決められているにもかかわらず、罰則が緩いからという問題があります。
かつて日本では長時間労働を美徳とする「24時間働きますか」という言葉が広告にもなっていたほどですが、だんだんそれでは社会が立ち行かなくなっていきました。働き方改革とは日本の働き方の悪い点や弊害を是正していこうという取り組みの総称です。典型的には長時間労働の是正として、残業時間に法定の上限を設けることや、もう一つ大きな取り組みとして正規雇用者と非正規労働者の格差、不当な賃金格差を是正していこうといった取り組みを指します。この他にも例えば女性や高齢者、障害者といった多様な人たちが就業できるような環境整備の促進、柔軟な働き方としてテレワークや副業の促進といったことをもろもろ取り込んだパッケージが働き方改革になります。
日本は数十年にわたり労働力不足に直面しています。2024年には約25万人の不足が見込まれ、これが1100万人に膨らむ可能性があります。その理由の一つは、日本では生活のために働くのではなく、長時間労働を優先する文化があるからです。
「これまでのように人が制度に合わせるのではなく、これからは人の生き方に制度を合わせる」という姿勢で、現在のフレックスタイム制は4週間の間に1回休みの日を追加できますが、これを毎週休みの日を追加できるように制度改正を予定しています。制度改正は2025年4月を予定しており、この改正によって週休3日で働くことも可能になります。例えば追加した休みの日に育児や介護を行ったり、自己啓発の時間を作ることもできると考えています。
その原因としては、国家公務員も地方公務員も非常に残業が多く長時間労働であるという構造があります。昔は人気の就職先だったのですが、最近はその長時間労働と非常にハードワークであることが知られてしまったことで応募者の数が非常に減ってしまいました。人手不足という状況があるので、少しでも働きやすい風土を作って多くの人を採用したい、獲得したいというニーズがあったことによるものです。
一方で、2007年以降、より多くの日本人が労働時間を短縮しています。ある調査によると、日本の労働者の半数未満しか職場で幸せを感じていないことがわかりました。不満の理由としては、オフィス内の政治、硬直的な管理体制、そしてアイデアや意見が受け入れられないことが挙げられています。
私たちのサービス設立当初は月間数十件の依頼でしたが、今では月間1800名を超える依頼をいただくようになっています。かなり需要があったのだと思います。一昔前と比べると労働環境はかなり良くなってきていると思いますが、良くなってきている会社もあれば以前のまま変わっていない会社もあります。だから退職代行を使われる会社があるのだと思います。
私の名前は現といいます。デザイナーとアートディレクターをしています。今年36歳になります。
初めて就職したときに大変な現場だと気づきました。初日からみんな終電で帰っていて、それに合わせて私も終電で帰っていました。働き始めて1週間くらいの段階で「自転車通勤してほしい」と上司から相談があり、終電で帰れないと困るという話が出たので、そこからは自転車で通勤するようになりました。
これは日本で「サラリーマン」と呼ばれる働き方です。元々日本では明治時代くらいから産業が発達していって、会社員やサラリーマンという働き方が生まれてからは、サラリーマンという言葉自体に揶揄するようなニュアンスが含まれることが多いです。一般的なイメージとしては、組織の歯車の一つであり、没個性的であって、自分を殺して組織のために尽くしていく働き方を要求されるというイメージがあります。
戦後の日本の経済成長は、勤勉に働く人々の努力の上に成り立っていました。80年代までは右肩上がり、つまり企業も個人も年収も生活ぶりも全て上がっていくものだという感覚が広く共有されていました。そうすれば、頑張った分だけ生活は良くなるし、みんなが経済成長を目指すという方向性が明確だったのです。
しかしそこから、集団の利益が個人の利益よりも重視される働き方の文化が生まれました。従業員は多くの時間を職場で過ごさなければならず、それどころか残業も当たり前とされ、会社はそれを奨励しました。
日本独自の雇用観であるメンバーシップ制というものに起因していると思います。メンバーシップ制の場合はどうしても白紙委任契約的な形を取るので、自分は残業をせずに帰りたいと思っても、そういう人は組織の輪を乱す、雰囲気を壊してしまう存在だと認識されてしまいます。むしろ長時間労働で組織のためなら何でもしますという人が「メンバーとしてふさわしい」と評価され、出世していって管理職になり、同じような価値観を持った人を採用していくという流れになりがちです。
繁忙期の働き方の時は、連日泊まり込みの勤務があり、朝は8時9時くらいから仕事が始まって、終わるのが大体2時か3時でした。具体的には1週間寝袋で泊まり込み勤務していたこともあります。
一般的な定義として「ブラック企業」とは、労働環境が非常に悪く、長時間労働が蔓延していて、その割に給料が安かったり残業代を払わないといった法律無視の状況が蔓延している会社です。そういった従業員が犠牲になりながら非常に安い値段で物を作ったりサービスを提供することによって、競合企業に比べてダンピング価格で商品やサービスが提供できるのです。
私の職場では、上長が仕事の割り振りをしていて、パワハラ的な行動もよく見られました。例えば、私の祖母が危篤状態になった時に葬式に帰らなければならなくなり相談したところ、「帰ってもいいよ」と言われたものの、「私なら帰らないけどね」という一言も添えられました。
祖父は2013年に過労死で心不全により亡くなりました。当時彼はNHKに勤務していました。ここにあるように、亡くなる直前の期間の労働時間を整理したものですが、朝10時から夜中の3時まで働いていたことがわかります。本当に夜中まで働いていて、休んだのはこの1日だけしか確認できません。こういう働き方をしていたのです。
当時の祖父の職場の記者には「みなし労働時間制」という制度が適用されていました。これは記者という職業は外回りが多く、職場の外に出て直接取材現場に行って、そのまま家に帰ることもあるため、実際に働いた時間に関わらず、一律で8時間働いたものとみなすというものです。労働時間の設定と把握は契約段階で必要ではあったのですが、それが義務化されたのは最近のことです。また、労働者側の考えとしても「生活残業」という言葉があるように、残業代を稼ぐことで生活費を補うという面もあり、ある程度は喜んで残業したいというニーズもありました。
特に報道機関の場合は24時間常にニュースが入ってくる環境にあり、長時間労働であることは当然であるという認識を多くの方が持っています。祖父は責任感も強く、相当無理をしたと思います。記者の仕事は自分の担当の仕事があって、それを一生懸命やるわけですから、他の人のことまで気にかける余裕がなかったのかもしれません。選挙の取材をする時は特に大変だったでしょうが、他の仲間のサポートがなかったことにも原因があるのではないかと私たちは思っています。
彼はその後、最初の職場を離れ、現在は広告会社で働いており、ワークライフバランスが改善されたと言っています。2019年には、以前の経験についてYouTubeで動画を投稿し始めました。
そのチャンネル名で「社畜」という言葉を使っているのは、世の中でこのように仕事に対して大変な思いをして働いている人が多いからです。「社畜」とは「会社」と「家畜」を合わせた造語で、会社に飼いならされ、好きなように使われている状態を指します。サラリーマンと社畜の違いについては、自分自身では明確に区別できていません。
私の名前はあずさと申します。現在ウェブデザイナーとして派遣社員と業務委託のフリーランスとして2つの働き方をしています。2001年に専門学校を卒業しました。その2001年当時は就職氷河期の中でも、新卒の採用有効求人率がすごく少なかったと言われています。
周りの友人を見たり、後々同世代の方の話を聞いていると、面接に100社以上も応募したり、応募しても本当に数社しか面接に進めなかったというような、かなり厳しい状況だったことをしっかりと覚えています。
日本では特に大学を卒業してからの就職先は正社員が当たり前という環境なので、大学を卒業したらすぐに正社員として働くことが期待されます。正社員の仕事は社会的な信用がとても大きいです。例えば家を買う時やお金を借りる時など、正社員で長く勤めていることが働いている証拠になるので、正社員で働くことのメリットは信用の問題だと思います。また、安定ですね。賃金体系であったり、しっかり働いていれば毎月給料が入るという安定感は正社員のメリットです。
日本ではまず新卒で正社員になることが良しとされています。そこをクリアできていないと、おそらく学生の時にあまり努力をしていなかったとか、就職活動を頑張らなかったとか、個人の努力が足りないとみなされることが多いように感じます。日本では大体最低でも3年働くことが良しとされているので、転職回数の多い人は長く働けない人と見られることが多いです。日本では30代後半で転職が少し難しくなると言われています。現在私は44歳なので、これから先に転職するのはよほどの能力や良いご縁がない限りは難しいのかなと考えています。
「日本で職が流動化しない理由ですか?なんでこんなに大変でこんなにハラスメントがあって、賃金も低いのになんで辞めないのか?」それは「いい仲間がいるから」というのが日本人が転職しない理由として強いのです。あともう一つは、日本人は意外かもしれませんが大人になると異常に勉強しないんです。学生時代までは勉強するのですが、卒業した後は全く勉強しなくなります。つまり転職しようと思ってもスキルが身についていないのです。
逆に言えば、給料が低くても、たまに顧客が不快でも、結局長く働いても人間関係が良ければ転職しないんです、日本人は。
あるオンライン調査によると、日本の回答者の約65%が「退職を考えたことがある」と答えているものの、実際には行動に移さない理由として、「次の仕事が見つからない不安」や「金銭的な補償への不満」が挙げられています。
やはり日本人の特徴として、自分が思っていることを言えないとか、日本は会社と労働者が対等ではなくて会社の方が強いという環境が多いため、上司がこれをやれと命令されたら、自分では違うと思っていてもやらなければいけないと思ってしまうような環境にあるのかなと思います。生まれた時から人の言うことを聞くとか、謙虚に生きていくということが当たり前だと思っていたので、それが日本の文化として根付いているのだと思います。
まず前提として、日本人は非常に集団主義的、調和主義的で、人間関係を大事にする、重視するからこそ、この人間関係に対して、つまり内輪の空気を壊すようなことがコミュニケーションコストとして非常に高いのです。大事だからこそそのコミュニティを壊す、つまり「私辞めます」「あの人たちは苦手なんで」みたいなことは言えません。
「心理的安全性」とは、人が自分の言動について批判されたり評価されたりすることを恐れず、抑制されないと感じる状態を指します。職場で本当に安全に発言できないと感じる従業員は、より静かになる傾向があります。私たちは仕事を必要なものと見なしており、収入が必要なので、最善を尽くして適応し従うしかありません。
そのため、政府は労働改革に取り組んでいますが、労働者は自分の権利を主張しないかもしれません。特に上司に逆らうリスクがある場合はなおさらです。日本は階層的な社会であり、年長者への敬意が重視されています。職場での昇進は通常、勤続年数に基づいています。
各世代がその方法で行っていたのは成功していないという認識が必要です。そうすれば一つの見方として、現在を変えないという姿勢は、過去の成功を保持しようとするものだと説明できるかもしれません。また、世代間の敬意という観点からも見ることができます。
私も今35歳なので分かる部分はありますが、例えば自分が昔きつい環境や辛い環境で頑張ってきて、それで今があると思った時に、その役職者の方は年齢層が高めの方が多いので、自分の成功体験をもとに下の方に伝えてしまうのです。それで自分が正しいと思って言ってしまうのですが、今の時代には合わないということで、そういった会社も残っているのだと思います。
若い世代が日本の労働改革を推進しています。そうですね、そのようにお伺いしています。
先日の依頼者の方の現在の状況ですが、まず午前中に対面で依頼をいただき、その後私から連絡をさせていただきましたが、その時は折り返しの連絡にはなりました。ただその後、当日の15時頃に会社の方から折り返しの連絡があり、その連絡で無事に退職は確定しました。
そうですね、やはり転職ができないという方は、引き止めがあったりチャレンジができないということで殻にこもってしまい、長所を伸ばしづらかったり、自分に合った職場につけないということで、どんどん悪い方向に行ってしまうと思うのです。
ある調査によると、アジア地域の企業勤務者に対してアンケートを取ったところ、組織に対するロイヤリティが最も低いのが日本人サラリーマンだったという結果が出ています。実際になかなかモチベーションが上がりにくいというのは統計上明らかです。
特に大手企業では20-30年前よりかなり残業時間が短くなりましたし、働き方の柔軟性も上がってきました。ただ一方で中小企業はどうかというと、あまり変わっていないのです。
日本の人手不足と低い生産性によって、2024年には過去最多の中小企業が倒産を申請しました。労働時間を下げようと思ったら人を採用することができるのですが、中小企業ではなかなか人が採用できません。日本は非常に労働者不足が深刻化した国なので、そもそも人口がどんどん減ってきている地域が多い中では、働き方改革をするような余裕がないという企業が多いというのが実情だと思います。
日本には事業所で言うと約400万の事業所、つまり会社があるのですが、そのうち99.9%が中小企業で、規模が小さいところになります。そういったところはやはり規模が小さいことによって生産性も低いですし、労働環境も良くないところが多いのですが、そういう会社が実際雇用の受け皿になっているからこそ、簡単に潰すことができません。
75歳の奈良さんはかつて伝統的で厳格な日本の労働文化の中でサラリーマンでした。現在は時計製造業のオーナーとして、より柔軟な経営スタイルを採用しています。
大体自分でスケジュールを組み、「今日は8時間でこの仕事ができるな」と考え、できなかったら8時になっても9時になってもやる。逆に早く終わったら早く終わるようにします。とにかく目的は1週間や10日の目標を達成するために皆が一生懸命やるというやり方をしていました。
人間が生きていく時に、やはり楽しい豊かな生活をしたいと思うでしょう?時間やお金ではなくて、世の中を良くするためにこうしているわけでしょう?
これは私の考えですが、自分の人生時間を有効に使って、面白いことをしたい。疲れたら休めばいいし、別に8時間で仕事をする必要はありません。
社長の会社では比較的休みも取りやすかったり、都合によって早く帰ったり、好きな仕事に関わるような仕事をしながら、時間も無理なく働けるというところで非常に大きく変わりました。
私はそういうことは意識せずに仕事しています。夜でも全然関係ない、夜中でも起きるし、朝でも関係ない、思いついたらやるという方針です。その時その時に一生懸命にやればいいかなと思っています。本当の働き方というのはどうあるべきなのか、今は昔と全然違うからね。
日本の労働者の考え方も変化しています。彼らは仕事に対して年配の人とは大きく異なる見方を持っています。2024年には新卒者の20%以上が機会があれば転職すると答え、70%以上がより良いバランスを求めています。
ある調査では、日本の労働者の半数未満しか職場で幸せを感じていないことがわかりました。その理由としては、オフィス内の政治、硬直的な管理体制、アイデアや意見の受け入れなさが挙げられています。
私はアーティストとして女性向けデジタルコンテンツ会社に最終面接まで行きました。そこで「自分の作品を作るとき、特に自分自身の作品を作っているときに生き生きとしている」と感じました。
2027年までに、日本の労働力の半分を請負業者やフリーランサーが占めると予想されています。自分のやりたいことが見つかれば会社で働くこともできますが、それを自分自身でやることもできます。
そのきっかけは社会全体が、この時代は個性や自分らしさが大事だと認識したことです。一つの会社に人生を埋没させるような働き方ではなく、一人一人のキャリアや人生の方が大事だという感覚が非常に強まってきました。
長時間労働についても先ほど申し上げた通り、週60時間以上働く労働者の割合が6.9%から5%へと低下しています。また正規労働者と非正規労働者の格差解消に取り組んでいると答えた企業の割合が64%となっています。
2023年に平均月間残業時間は過去最低の時間数となり、有給休暇の取得率は過去最高となりました。今後の計画としては柔軟な労働市場を促進し、長時間労働の代わりに従業員のエンパワーメントを図ることが挙げられています。
日本の労働改革は進んでいますが、人々は自分のペースで働き、人生の様々な側面のバランスを取る必要があります。
好きな仕事をしながら健康にも気を使いながら生きていきたいです。仕事の充実感と体の健康でいることは、おそらくどちらも両立させないと充実した人生を送ることは難しいと思うので、そういうことを意識しながら生きていきたいと思っています。


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