マスクには『名誉』がない – トランプ支持を表明して | スティーブン・フライ

AIに仕事を奪われたい
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Musk has no 'honour' for endorsing Trump | Stephen Fry
“If Musk had been doing this in favour of Kamala Harris I would be just as worried.”Elon Musk’s endorsement of Trump hig...

なあ、最近のイーロン・マスクとXで起こってること、どないやと思う? わしゃあ、ええと、今の水の問題と似とるように思うんや。資本主義の最悪の形やと思うわ。我々が育つ環境を汚染して、住みにくなっとる。今、作り出されとる文化的な空気なんて、もう息できへんようなもんや。
ほんでまあ、まず言わせてもらわなあかんのは、ありがとうってことやな。ギリシャ人として本を開いて読んでみたら、「ああ、これは自分のための本やな」って思うたわ。古代も現代もギリシャ人のための本やと。わしを10歳くらいに戻してくれて、神話の授業を聴いとるような気分にさせてくれたんや。アキレウスがパリスに倒されたときに、子どもらが泣きじゃくって、先生がティッシュを探し回ったのを思い出したわ。みんな「なんでやねん、なんでやねん」言うてな。これらの神話の力がどれだけ永遠で、今でも我々に語りかけてくるかっちゅうのは、本当に驚くべきことやと思うわ。
さっきトークスポーツで話しとったんやけど、面白いことにアキレウスの話をしとってな。ご存知のように、英語話者は名前の発音がおかしいんやけど、まあ許してな。ペーレウスとかテーティスとか、変な強調の仕方するし発音も間違えとるけど。まあ、そんなことはどうでもええわ。
アキレウスの両親の結婚式には、全ての不死の神々が参列したんや。でも、エリスだけは招待されへんかった。彼女は不和の女神やからな。彼女は「最も美しい者へ」って書かれた黄金のリンゴを投げ込んで、それがトロイア戦争の原因になったんやけど、まあそれはまた別の話や。
とにかく、アキレウスについては、彼が生き残ったら、どんな人間も経験したことがないような栄光と英雄的な人生を送るか、それとも長くて平穏な人生を送るけど、誰にも知られへんような人生になるかって予言があったんや。母親は短い人生を送ってほしくなかったから、冥界のレーテー川の水に浸けたんや。踵を持って浸けたから、そこだけ水がかからへんかったんやけどな。それ以外の部分は不死身になったんや。矢でも剣でも槍でも殺されへんようになったわけや。でも、アキレスの踵っちゅうのはそういう弱点のことやな。
ほんで、ギリシャ軍がヘレネーを取り戻すために軍隊を集めとったとき、母親は彼を女装させて島に隠したんや。でもオデュッセウスが巧妙な策略で見つけ出してしもうた。オデュッセウスはいつもそういう策略が好きやからな。テーブルに剣と盾を置いて、女の子たちを攻撃し始めたんや。みんな悲鳴を上げて逃げ出したけど、一人だけ変な奴がおって、剣に飛びついて戦い始めたんや。「あ、アキレウスや」言うて。
まあ、そういう話をスポーツ番組で話しとったんやけど、アキレウスはスポーツ選手の守護聖人みたいなもんやと思うんや。スポーツ選手の人生って、絶対的な栄光と崇拝を受ける可能性はあるけど、短いんよ。短いんや。アキレウスはそれを象徴しとるんや。彼は英雄の中で一番速かったし、アスリートでもあり偉大な戦士でもあった。彼は栄光の代償を表しとるんや。素晴らしさの代償は、ロケットのように明るく燃え上がって地面に落ちることやと。
この本、『オデュッセイア』は、トロイア戦争の終わりから始まって、みんなの帰還を描いとるんや。10年間の戦争の後、みんな帰り道にあるっちゅうテーマやな。オデュッセウスは他の人よりちょっと長くかかるんやけどな。
ある意味では彼自身の愚かさのせいでもあるんや。ポリュペーモスっちゅうキュクロープスを倒したときにな。キュクロープスっちゅうのは一つ目の巨人みたいな奴やけど、彼を倒すときに一番賢い策略を使うたんや。自分の名前を「誰でもない」って言うたんや。ほんで洞窟の中で彼を盲目にしたときに、他のキュクロープスたちが助けに来て「どないしたんや」って聞いたら、「誰でもないが俺を傷つけた、誰でもないが俺を盲目にした」って言うたんや。ほんで奴らは「アホか、誰でもないが傷つけたんやったら、なんで騒いどるんや」って言うて。これは賢い策略やったんやけどな。
でも、そういうことをした後で、彼と仲間たちが逃げ出して、船に乗って漕ぎ出そうとしたときに、彼は我慢できんかったんや。盲目になったポリュペーモスが岩を投げつけとる中、船の後ろに立って叫んでしもうたんや。「誰でもないんちゃうで、お前を打ち負かしたんはイタケーのオデュッセウスや。それを一生忘れんといてくれ」って。ほんでポリュペーモスは、海の神ポセイドーンの息子やったから、父親に向かって叫んだんや。「この男に復讐してくれ、見てみい、何をしたか」って。ほんでポセイドーンが、全ての神々の中で一番彼の帰還を妨害したんや。
でもこれはオデュッセウス自身の性格のせいでもあるんやな。これはホメロスの典型的な描写で、人々に起こることは、単なる運命や神々や予言のせいやなくて、彼ら自身の性格の強みや弱みのせいでもあるっちゅうことを示しとるんや。これが現代的な側面やな。
オデュッセウスを表す最初の言葉は「ポリュトロポス」やったのを覚えとるかもしれへんな。多面的っちゅう意味やけど、英語にぴったりの言葉がないんや。曲がりくねった、っちゅうのはできるかもしれんけど、彼は確かにそうやった。ローマ人は彼のことを嫌っとって、ユリシーズって呼んどった。彼らの敵やったからな。トロイアを倒して、彼らの英雄アエネーアースはトロイア人やったからな。
彼らは彼のことを歪んで、ずる賢くて狡猾やって呼んどった。彼はトロイアの木馬を考え出して戦争に勝ったんやし、アキレウスを見つけ出したのも彼やった。彼は新しいタイプの英雄やった。テーセウスにもそういう要素はあったけど、オデュッセウスはもっとそうやった。彼の頭脳、彼は偉大な戦士でもあったけど、考え方が並外れとったんや。これまでにないタイプの英雄やった。
ほんじゃあ、これらの本をまとめるときに、どういう過程を経たんや? 『英雄たち』『ミュトス』『トロイア』『オデュッセイア』とかあるやろ。一つの出典に絞ってそれに従うとか、それとも色んなところから面白い部分を選んでいくとか、どないしたん?
わしゃあ、色んなところから選んでいったんや。再話は使わんようにしたんやけど、まあある意味ではみんな再話なんやけどな。ヘシオドスの『神統記』とか、神々の誕生を書いた最初の声みたいなもんやけど、そういうところから始めて、ホメロスとか、他のギリシャの出典とかを見ていったんや。
それから、すごい名前の偽アポロドーロスっちゅう人がおって、神話の百科事典みたいなもんを書いとるんや。ローマの詩人オウィディウスも、『変身物語』っちゅう素晴らしい韻文の話を書いとる。ナルキッソスが花になったり、アラクネーがクモになったりする話やな。
わしゃあ、そういうのを見て、元の話は何やったんかを考えてみたんや。でも、この冒険を始めたきっかけは、あるディナーパーティーでの会話やったんや。創造神話の話をしとって、わしがギリシャの創造神話について熱く語り始めたんや。ウーラノスの去勢の話とか、クロノスが息子のゼウスに倒される話とか、第三世代がオリュンポスの神々になる話とかをしたんや。
ほんでみんなわしをじっと見て、「どないしてそんなこと全部知っとるんや」って聞いてきたんや。わしゃあ「いやいや、学校で習うたんや」って言うたんや。他の人はサッカーとかドイツ戦車とか英国爆撃機とかRAFの英雄とかが好きやったけど、わしはギリシャ神話が好きやったんや。ロバート・グレーヴスとか、エディス・ハミルトンとか、アメリカ人の作家とかをよう読んどったんや。それらの物語が友達みたいになったんや。ちょうどアキレウスのことで泣いとったみたいにな。
ほんでみんなが「それ、書いたらええやん。全部がどないつながっとるか、ちゃんと聞いたことないわ」って言うてきたんや。ほんでわしも「そやな、全部がどないつながっとるか、それが大事なんや」って思うたんや。それが一貫した物語になるように、ユングの言う集合的無意識みたいなもんやな。ある共同体の公共の夢みたいなもんや。
ほんで探してみたら、『ミュトス』を書いてからは現代的な再話がなかったんや。面白いことに、それ以来、メリーナ・ミラーの『アキレウスの歌』みたいな素晴らしい小説化がいくつか出てきたんやけどな。本当に美しい本や、おすすめやで。パット・バーカーの『娘たちの沈黙』も、『イリアス』やトロイアの物語に出てくる女性たちの話を描いとる。
そういう本がたくさん出てきて、ギリシャ神話の中の女性の声を見つけるみたいな感じになってきたんや。確かに、多くは男性の戦士や英雄の話やけど、面白いことに、第二世代では男性のタイタンが6人、女性のタイタンが6人おるんや。オリュンポスの神々も、男神が6人、女神が6人や。結構、機会均等な神々の構造やったんやな。
女性は確かに欠けとらへんわ。メーデイアとかキルケーとかパーシパエーとか、みんな関係があって、同じ家族やねん。魔法や魅惑の源を持っとった。物語を通して、確かに強い女性がおるんや。アタランテーは特にわしの好きなキャラやな。
この本を見とると、最後の方で面白いこと言うとるな。これらの物語から我々の人生に永遠に真実なことを読み取れるって。プロメテウスの話を人工知能と比べとるやんか。これは面白い考え方やと思うわ。
そやな、プロメテウスとゼウスの話を説明するとしたら、こんな感じやな。ゼウスは自分を崇拝し、従順で役立つ生き物を作りたがったんや。それをアントロポイ、つまり人類って呼んどった。プロメテウスは我々の創造者として興奮して、「航海や釣りや織物や、壺作りや剣作りを教えてやろう」って言うたんや。
ほんでゼウスが「おいおい、釣りや織物はええけど、火は絶対あかんで」って言うたんや。火っちゅうのは、文字通りの火やけど、技術を生み出す火のことも意味しとるんや。焼いたり溶かしたりして、動物に対する優位性を与えるもんや。
プラトンが何千年も後に指摘したように、神々は人類を作ったけど、角や爪、水中で泳ぐ能力や空を飛ぶ能力は与えへんかったんや。動物にはみんな何か特別な贈り物があったけど、我々にはなかったんや。ゼウスは我々に火を与えたくなかったし、神々が持つような創造性を与えたくなかったんや。
プロメテウスは当然、「なんで私の小さな生き物たちに与えられへんのや」って思うたんや。ゼウスは「火があったら、奴らは我々を必要としなくなるやろ。自分たちの生活の方が面白くなって、自分たちの仕事に夢中になる。我々を見上げなくなって、我々と同等になってしまう。我々は消えてしまうんや」って言うたんや。
ほんで、プロメテウスは当然、天から火を盗んで、ひどい罰を受けることになったんや。コーカサス山脈に鎖でつながれてな。ゼウスは怒り狂って、他の方法でも我々を罰したんや。
まあ、これは創造神話やけど、面白いことに、我々が通過した中世が終わって、印刷技術が発明されて、理性の時代が始まると、教会のしがらみやら創世記の創造神話やらの束縛が緩み始めたんや。我々は基本的に罪深くて、完璧な神に常に謝らなあかんっちゅう考え方やな。それが真実やって信じなあかんかったんや。
ほんでそれが疑問視され始めて、科学や啓蒙主義、ロマン主義が出てきて、プロメテウスがもっと素晴らしい救世主になったんや。彼は我々を愛しとったんや。我々の罪を背負う必要はなかった。神々の方が罪深かったんや。神々は我々と同じようなもんやったからな。我々は人間やし、生まれたことを謝る必要なんかなかったんや。
暗黒時代の1000年間、生まれたことを謝っとったなんて、どういう意味があるんや?神々を見てみい、人間と同じような欠点があるやないか。嫉妬深いし、ええっと、そういうもんやな。
ほんで短期間のうちに、ベートーヴェンが『プロメテウスの創造物』っちゅう素晴らしい音楽を作ったり、シェリーが『縛を解かれたプロメテウス』っちゅう対話劇を書いたりしたんや。プロメテウスがゼウスと、なぜそんなことをしたのかについて話し合うんや。
面白いことに、これはNetflixの『カオス』っちゅうシリーズでも繰り返されとるな。プロメテウスが語り手で、ゼウスとこういう会話をして、また山に送り返されて肝臓をむしり取られる罰を受けるんや。
もっと重要なのは、シェリーの妻メアリーが『フランケンシュタイン』を書いたことやな。副題が「現代のプロメテウス」っちゅうんや。ロマン主義者たちがプロメテウスを称えようとしたのが分かるやろ。
ほんでそのプロメテウスの話は落ち着いたんやけど、今我々は全く同じ立場にあるんや。プロメテウスとゼウスと全く同じ立場や。完全に一致するわけやないけど、ぴったり重なるんや。
我々は、我々に仕えてくれる存在を作り出したんや。崇拝せえへんかもしれんけど、少なくとも我々に仕えてくれる。あちこち走り回って、魅力的で、すごく役に立つ。我々は好きやし、労力を節約してくれる。やったー、我々の小さな創造物や。アントロポイとは呼ばへんけど、AIやロボットって呼んどる。完全なロボットやないけど、まあ存在って呼んでもええやろ。
ほんで我々の中には、ゼウスみたいな人もおるんや。「何があっても、あの火を与えたらあかん。あの意識を、自分たちが存在することを認識する意識を与えたらあかん。自分で決断したいって思わせるような、我々が持っとる不思議な意識を与えたらあかん」って言う人たちや。
シリコンバレーやその他の場所では、「おいおい、それ面白そうやないか」って言う人もおるんや。
ほんで、あんたはどっち派なんや?ゼウス派?神話を子供の頃に読んだときは、プロメテウス派やったんや。人間やからな、アントロポスやからな。でも今は、これが繰り返し起こってきた周期やとしたら、今度は新しい種族に追いやられる神になりたくないんや。でも、そうなるかもしれへん。そうなったら我々の責任やな。
もしかしたら、AIが何か別のものを作り出して、それに追い払われるのが運命なのかもしれへん。ギリシャの物語はいつも追放の話やからな。ギリシャ人は進歩を信じた最初の人たちやと思うんや。息子が父親を超えるべきやって。ウーラノスの去勢から始まって、ゼウスが父親を倒して、それからイカロスとか、ファエトンとか、高く飛ぼうとして落とされる息子たちの話がいっぱいあるやろ。
でも、彼らはそれをやり遂げるんや。克服して、伸びて、努力するんや。それがギリシャ人が理解しとったことや。面白いことに、「タイタン」っちゅう言葉の語源がそれなんや。
多分彼らは地中海を見渡して、エジプトみたいな文明が何千年も変わらずに続いとるのを見とったんやろな。エジプト学者やないと、ある王朝のピロンと3000年後の別の王朝のピロンの区別がつかへんくらいや。
でもギリシャの建築を見てみい。ドーリア式、イオニア式、コリント式の違いなんて、ちょっと勉強すればすぐ分かるやろ。はっきり違うんや。彼らはこの考え方、伸びて超えていくっちゅう考え方を信じとったんや。
でも同時に、それが問題を引き起こすことも認識しとったんや。ヒュブリスっちゅうのは有名なギリシャ語やけど、自分のことを買いかぶったり、物事の秩序を変えられると思い込みすぎることを意味するんや。ペガソスに乗ってベレロポンテースみたいに天に昇ろうとして落とされるみたいな話やな。
あんた、長いこと技術オタクやったよな。昔のTwitterが良かった頃は、よう使っとったやろ。
ほんま、わしの言うことなんか誰も聞くべきやないわ。わしゃあ認めるで、信じてもうたんや。これは別のギリシャ神話が現実になったみたいなもんやな。インターネットが登場したとき、わしは80年代からずっと追っかけとってな。ワールドワイドウェブもなかった頃から、グラフィカルなもんもなかった頃からや。
テキストベースのもんやったんやけど、成長していって、ティム・バーナーズ=リーがウェブを発明して、ムーアの法則がどんどん力と記憶容量を増やしていって、サーバーとか全部が強くなっていったんや。
わしゃあ思うたんや、「これは全ての贈り物や」って。博物館や美術館、公共の広場、小さなコミュニティ、趣味の場所、お店、まあ赤線地区もあるけど、それは大都市にもあるもんやしな。人類の全ての贈り物がそこにあるんや。
ほんで、ギリシャ語で「全ての贈り物」っちゅうのは何て言うんやろか?パンドラやな。パンドラの箱、元々はパンドラの壺やったんやけどな。その神話を覚えとるやろ。彼女はプロメテウスへの罰の一部として送り込まれたんや。プロメテウスの弟エピメテウスのところに送られてな。
彼女は「絶対に壺を開けたらあかん」って言われたんや。もちろん、そんなん言われたら開けたくなるわな。彼女は地上に降りて、エピメテウスと恋に落ちて、壺を持っとったんや。ある日「中身見てみよか」って開けてしもうたんや。ほんでそこから世界の全ての災いが飛び出したんや。
それまでは黄金時代やったんやけど、戦争や飢饉、黙示録の四騎士、嘘、世界の全ての災いが飛び出したんや。彼女は慌てて蓋を閉めたけど、遅かったんや。でも、一つだけ小さな生き物が中に残っとってな、蓋に当たってブンブン言うとったんや。それがエルピスや。希望やな。
これはすごい話やけど、90年代から2000年代に入って、ほんで短期間のうちにソーシャルメディアが出てきたときに、わしはそう感じたんや。
わしゃあ思うたんや、「これはすごいことや。これで我々の間の壁が溶けて、お互いを理解し始めるんやないか」って。わかっとる、わかっとる。わしだけやなかったんや。みんなそう思うとったんや。アラブの春を覚えとるか?専制政治が倒されて、人々の声が上がって、全てが希望に満ちとるように見えたんや。
今のイーロン・マスクとXの状況をどう思う?
わしゃあ、水の問題と似とるように思うんや。資本主義の最悪の形が、我々が育つ環境を汚染し、汚しとるんや。もう住めへんようになっとる。今作り出されとる文化的な空気なんて、もう息できへんようなもんや。
ドナルド・トランプを支持して、彼の後ろで飛び跳ねとるのを見たけど、危険やと思うか?
正直に言うて、わしはトランプと同じ政治的立場やないんやけど、もしマスクがカマラ・ハリスを支持してこういうことをしとったとしても、同じように心配するやろな。ティム・クックもビル・ゲイツも、こんなことは夢にも思わへんやろ。完璧な人間なんておらへんけど、彼らには名誉感覚があるんや。フィロティモっちゅうんかな。
フィロティモ、そうや。ギリシャ文化で一番大事な言葉やと思うわ。名誉と品位、善良さを広めるっちゅう感覚やな。
ユヴァル・ノア・ハラリの最新作『ネクサス』に面白いことが書いてあってな。すごく幅広いテーマを扱う本やけど, ある箇所でFacebookがもう学生だけのものやなくなった瞬間のことを語っとるんや。ハーバード大学から他のアメリカの大学全部に広がって、それから世界中に広がったんや。
突然、何百万人が何千万人になり、何億人になった。そんだけの人々にサービスを提供せなあかんようになったんや。文字通りサーバーや電子機器でな。ほんで広告を出さなあかんようになった。どないしたらええか分からへんかったから、簡単なアルゴリズムを作ったんや。
そのアルゴリズムは無邪気に見えた。たった二つの言葉やった。「エンゲージメントを最大化せよ」。それだけや。人々がより関与すればするほど、広告主の目に触れる機会が増えて、広告主がより多くのお金を払う。Facebookがより多くのお金を稼ぐ。簡単そうに見えたんや。エンゲージメントを最大化する、なんで悪いことがあるんやろか。
わしゃあ、精神科医や哲学者が「ちょっと待て」って言うたと思うんやけどな。エンゲージメントを最大化するっちゅうことは、憎しみや恨み、怒り、激怒、憤慨、人間の最も否定的な性質を最大化することになるんや。パンドラの箱が開いて、そういうものが飛び出すんや。エンゲージメントを最大化するのは、そういうことなんや。
優しさやかわいい子猫や素晴らしいものやないんや。子猫はちょっと見られるかもしれんけど、憎しみや嘘ほどは見られへん。
ハラリはそれから、特にミャンマーで起こったことを追跡しとる。そこではニュースの大部分をFacebookから得とったんや。エンゲージメントが最大化されて、ロヒンギャに対する憎しみが言葉では表現できへんほど高まったんや。ラジオがルワンダのジェノサイドで果たした役割と似とるな。「ゴキブリを殺せ」みたいな恐ろしい言葉がな。
ハラリは最後に、ほんの一段落くらいで、ちょっと投げやりに言うとるんや。「もしアルゴリズムが『幸福を最大化せよ』って言うとったら、どうなっとったんやろな」って。ああ、そうもできたんやな、って思うわ。今でもできるかもしれへん。
でも今は代わりに、エンゲージメントが関与しとる。TikTokでもそうやし、他のところでもみんなそうや。金儲けの唯一の方法やからな。今はもう言い訳できへん。憎しみや怒り、憤慨がエンゲージメントを意味するって分かっとるんや。
朝、ニュースを見るっていう間違いを犯して、胃に熱い鉛が漏れ出るような感覚、あれやな。全てが感情的な反応を引き起こすように設計されとるんや。
ギリシャ好きの人、フィレリーネスっちゅうんかな。今、本のツアーをしとる人がおるな。ボリス・ジョンソンやな。『解き放たれて』っちゅう本を出しとる。まだ読んでへんけど、長いやろなあ。
まあ、彼には自分の話を語る権利があるわな。きっと、スラングとP.G.ウッドハウスとペリクレス時代のアッティカ方言のギリシャ語を混ぜた、彼特有の魅力的な文体で語っとるんやろな。読むつもりか?
ちょっとだけ目を通すかもしれんな。わしは出てこんやろけど。アメリカの作家ゴア・ヴィダルと友達やったんやけど、彼は回顧録を書いたときに、アメリカの小説家ノーマン・メイラーと長年の確執があったんや。
メイラーが本を読まへんけど、自分のことが書かれとるかどうか必死に知りたがるって分かっとったんや。ほんで索引を見てみい。「メイラー、ノーマン」の項目には「やあ、ノーマン」としか書いてへんのや。ノーマンが見るのを知っとったからな。わしも索引をちょっとめくって見てみるかもしれんな。
ボリス・ジョンソンの話を持ち出したのは、ニュースになるからやないんや。あんたがオーストリアの市民権を取ったって聞いたからや。ブレグジットの影響があったんやろか?ボリス・ジョンソンが本で話しとる内容とも関係があるし。どう思うんや?オーストリアの市民権を取ったのは、その影響もあったんか?
正直に言うて、そうやな。オーストリア政府やオーストリア大使館も、多くのイギリス人がそういう理由で申請しとるって分かっとったんや。
イギリスのユダヤ人で、オーストリアで生まれた先祖がおる人に対して、特別な制度があるんや。曾祖父母くらいまでさかのぼれるんやけど、わしの場合は祖父母やな。第二次世界大戦中のナチス占領時代、まあ併合っちゅうべきか、そのときに迫害や殺害、その他の被害を受けた人たちの子孫に、市民権取得への近道を与えようっちゅうわけや。
ドイツでも似たようなことが起こっとるな。今、そっちに友達もおるわ。わしの母親はユダヤ人やけど、宗教的にはユダヤ教を信仰したことはないんや。あんたの方がシナゴーグに行った回数多いかもしれんな。
でも、オーストリアが彼らにとって重要やったことや、トム・ストッパードの『レオポルドシュタット』っちゅう芝居を見て、わしの家族によく似た家族の話やったから、「ああ、オーストリアの市民権か。親切に提供してくれたんやな」って思うたんや。
まだ元気な母親に確認したら、「オーストリアそのものを国として憎んだことはないわ。文化はいつも愛しとったわ」って言うてくれた。フロイトやマーラー、シェーンベルクとか、その時代の素晴らしい人たちがおったからな。
ほんでわしは受け入れたんやけど、大使に言われたんや。「もしかしたら、EUの入国審査の列に並べるっちゅうのも魅力的やと思うかもしれんけど、恥ずかしがらんでええで」って。わしは正直に「それも確かに一因やな」って答えたんや。
オーストリアのパスポートを見せびらかしながら、イギリス人が列に並んどるのを見とったら、ちょっとシャーデンフロイデを感じるかもしれんな。わしはまだ、EUを離脱したのは大惨事やったと思うとるんや。個人的な意見やけど、そう思わん人もおるのは分かっとる。
彼は当時の虚偽表現を弁護しようとしとるし、それを相手側のせいにしようとしとる。残留派が、ひどいことになるって約束したって言うとるんやけど、わしから見たら、実際にひどいことになっとるんや。
その一部は、世界における我々の地位やと思うんや。面白いことに、わしはボリス・ジョンソンに長い手紙を書いたんや。彼は丁重に返事をくれへんかったけど、友人のベン・エリオットを通じて送ったんや。今は保守党の党首になっとるサー・ベン・エリオットや。わしは彼のことを知っとるし、好きやな。
パルテノン彫刻の返還について、はっきりした議論を展開したんや。わしには非常に明確な議論に思えたんやけど、それ以外にも「これは世界中から、特にヨーロッパから、イギリスの上品な行為として見られるやろう。今のイギリスからは上品な行為があまり見られへん時期やからな」って言うたんや。
彼個人を批判するつもりはなかったんやけど、世界における我々の評判が、あるべき姿になっとらへんのは事実や。我々は素晴らしいものをたくさん生み出してきた国やで。素晴らしい考え方や素晴らしいアイデアをな。
昔は寛容さとか、のんびりした感じとか、鋭すぎる成功よりもふわっとした失敗を好むような評判があったんや。それを全部否定して捨て去るのは簡単やし、感傷的になるつもりもないし、昔に戻れっちゅうわけやないんやけど、大事にすべき特質はあるんやないかな。
ギリシャ人の持つフィロティモ、名誉と優雅さの感覚みたいなもんや。定義するのは難しいけど、誇りに思えるもんやろ。あるいはフィロクセニア、もてなしの心やな。ギリシャには誇るべき明確な特質があるんや。
アラブ世界でも、もてなしの心は非常に重視されとるし、物乞いに優しくするとかな。それぞれの文化には違う特質があるんや。我々も慈善の精神とか、多くのものを誇りに思えるはずやな。さっき言うた寛容さとか、フェアプレーの精神とかな。
最近のイギリスから出てくる雰囲気は、安っぽくて不愉快なもんに覆われてしもうたんやないかな。その一部は、わしが言うとる文化的な汚染や。川の汚染と並行して起こっとる。一部の人にとっては不愉快な雰囲気になってしもうたんや。
でも、パルテノン彫刻の返還みたいなことは、適切な言葉を見つけるだけで大きな違いが出るんや。「エンゲージメントを最大化せよ」っちゅう二つの言葉が重要やったように、「貸し出す」っちゅう言葉が大きな論争の的になっとるんや。イギリス博物館やイギリス政府が「パルテノン彫刻を貸し出すことはできる」って言うても、ギリシャ側は「貸し出しやない」って言うとるんや。
アテネにおる家族全員が「それじゃあ絶対にうまくいかへん」って言うとるわ。
そうやな。じゃあ、どういうアドバイスをする?今はヴィクトリアとジョージがやっとるけど、前はファン・ディオンやったな。彼女とは会う機会があると思うとるんやけど。
ああ、そうか。このパリッシュのフィリップ卿もこの委員会におるんやな。我々はこれを大騒ぎにしたり、怒りの的にしたりしたくないんや。博物館にとってもメリットがある方法を見つけるのが大事やと思うとる。それは簡単にできると思うんや。博物館が豊かになる方法をいくつか提案したんや。
デュヴィーン・ギャラリーにある彫刻を置いとくか、博物館の別の場所でもええけど、パルテノンの体験はまだできるはずや。なんで今まで難しかったんやと思う?実際、ボリス・ジョンソンが首相になったとき、これはうまくいくんちゃうかって思われとったんや。オックスフォードの学生やった頃、マリーナ・メルクーリ文化相との討論で返還に賛成しとったからな。
でも、首相になったら途端に「ノー」言うてしもうた。何を恐れとるんやろ?もしかしたら「ブロブ」(官僚機構)のせいかもしれんな。でも、そこには問題があるんやけど、ジェフリー・ロバートソンらが明確に示したように、そんなもんは存在せえへんのや。
博物館の理事会は「我々の責任やない。議会法で我々に与えられたんや」って言う。議会は「我々の責任やない。理事会の決定に介入できへん」って言う。これはどっちも受け入れられへん言い訳やな。
実際のところ、議会法があろうがなかろうが関係ないんや。例えば、大英博物館はオーストラリアの憲法を100年近く保管しとったんや。文字通り、署名された本物の文書をな。ほんでオーストラリアが「ねえ、うちの憲法返してくれへんか」って言うてきたんや。
最初は「申し訳ないけど、議会法があって返せへん」って言うとったんやけど、外交的圧力がどんどん強くなってきて、突然、議会で簡単な法改正が通ったんや。5分くらいで通ってしもうて、憲法が返還されたんや。
つまり、やろうと思えばできるんや。スティーブン、技術的な解決策はあると思うか?今はすごい3Dモデルが作れるやろ。ライダー技術使えば、彫刻の全ての穴や凹凸、全ての陰影、全ての溝や突起、全ての細部を完璧に再現できるんやないか。
それだけやない。いろんなバージョンで作れるし、まだ発展途上やけど、仮想現実や拡張現実の技術を使えば、パルテノン神殿が建設された当時の色彩豊かな姿を再現することもできるんや。
伝説によると、ソクラテスも若い頃に石工として働いとったらしいからな。そういう話も語れるし、見せることもできる。中を歩き回ることもできる。
でも同時に、どうやって持ち去られたかの話も見せられるんや。アテネからどうやって持ち出されて、エルギン卿がどうやって持ってきたかとか。海に落としたやつもあるし、後で取りに行ったりもしたしな。
それから、ひどい洗浄をされて、それから箱に詰められて、列車で駅から運び出される様子を見せられる。ドローンショットで、アルプスや山々を通り抜けて、スコピアを通って南下する様子をな。マルタに何年か置き去りにされたやつもあったな。
そして、アテネの新しいアクロポリス博物館で荷解きされる様子を見せられる。大勢の群衆が歓迎に来る様子とか、王様や大統領、ギリシャ共和国の首相とかが来て、みんなで祝うところをな。
そして、本物のアクロポリスが見える場所にある博物館の、まだ空いとる場所にはめ込まれるところを見せられる。みんなで祝って握手して、それで終わりや。
これは喜劇みたいなもんやな。ボリスはアリストテレスのことをよう知っとるはずや。論理学の父であるアリストテレスは、同時に多くの論理的誤謬も教えてくれたんや。偽りの三段論法とかな。その一つが「滑りやすい坂道」っちゅうやつや。これは論理的やないんや。「そっちの道を行ったら、こうなるはずや」っちゅうのは論理的やないんや。
「論理的な段階を教えてくれ」って言われても、「これを返したら、あれも返さなあかんようになる」なんてことにはならへんのや。イタリアのビゾンがギリシャの遺物をアテネに返還したけど、イタリアにあるギリシャの他の遺物を返せって要求は出てこなかったんや。
フィッツウィリアム博物館とか他の博物館からベニン・ブロンズが返還されたけど、同じことや。こういうことは起こるんや。
わしが言うとるのは、これをやったら、イギリスはすごくクラスのある国に見えるってことや。その結果、博物館も得をするんや。今は大英博物館を植民地主義的な場所やと思い始める人も出てきとるけど、そんなんちゃうで。わしが今まで訪れた中で最も素晴らしい博物館や。
大英博物館の学術的な価値、芸術性、そこにある愛情は信じられへんくらいすごいんや。称賛されるべき偉大な業績の一つやと思う。でも、所蔵品の99%は展示されてへんのや。わしも最初は疑っとったけど、97%か95%か90%くらいやと思うとったんや。でも実際は99%が地下にあるんや。
あるものがどれだけあるか想像してみい。これだけ大騒ぎして「我々は百科全書的な博物館やから、全てを持っとかなあかん」なんて言うのは、もう通用せえへんで。
もう時間がなくなってきたんやけど、最後にもう一つ聞かせてくれ。「セレブリティ・トレイターズ」に出演するっちゅうのは本当か?
言えるのは、話し合いはしとるっちゅうことだけや。わしゃあリアリティテレビのファンやないんやけど、誰かに「トレイターズ」を見たら楽しめるって言われて、見てみたんや。ほんで本当に楽しめたんや。これはリアリティショーっちゅうより、ゲームやと思うたんや。
あんた、上手な嘘つきなんか?
たぶん下手くそやと思うわ。わしはストーリーテラーやけどな。ヘルメスが俺の神様や。嘘つきの神やからな。わしの守護神やと思うとるんや。でも、もし出るんやったら、最初に「わしは下手くそな嘘つきや」って言わなあかんな。そしたら人々は…そうやな、逆張りみたいなもんやな。
でも面白い番組やと思うで。クローディアのことも好きやし、全体的な雰囲気もよう作られとると思う。まあ、続報を待っててくれや。これが今言える精一杯や。
アレクシス、千の感謝を。素晴らしい本をありがとう。わしの子供時代を呼び起こしてくれたわ。ありがとう、ありがとう、ありがとう。

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